<

[覚書] Micro Frontends

Micro Frontends とは?🤔

皆さん、Micro Fronends(以下、MFE)をご存知でしょうか。説明をざっくりしますと、Microservices の考え方をフロントエンドまで拡張した考え方です。Microservices は、バックエンド側で適用される事例をよく耳にしますが、フロントエンドでの適用事例は、あまり聞いたことがありません。

従来、Web サービス開発ではモノリスな構成からスタートします。そこから、規模が拡大するにつれて様々な理由により、フロントエンドとバックエンドの分離、バックエンドの Microservices 化が行われます。

[翻訳記事]マイクロフロントエンド > monolith-frontback-microservices
[翻訳記事]マイクロフロントエンド > monolith-frontback-microservices

Microservices 化によって、Scalability、Agility、Independency、Availability の大幅な向上が期待できます。しかし、依然フロントエンドはモノリスなままです。そこで、次の画像のように、Microservices と同様にフロントエンドも縦(専門領域)に分割します。

[翻訳記事]マイクロフロントエンド > verticals-headline
[翻訳記事]マイクロフロントエンド > verticals-headline

ただし、全ての Web サービスを MFE にする必要はありません。先程の説明にもあった通り、規模が拡大した際に MFE を検討する必要があるため、小・中規模の Web サービスでは時期尚早です。また、次の画像にもある通り、静的ページ(Web サイト,Web ドキュメント)や動的ページ(Web アプリ)の両極端に位置する Web サービスは MFE の適用するのには不向きです(と書いています)。両方の要素が求められる Web サービスに MFE が役立ちます。MFE の適用される Web サービス事例では、EC サイトが挙げられます。

Microfrontends: An approach to building Scalable Web Apps
Microfrontends: An approach to building Scalable Web Apps

※ MFE という言葉は、Micro frontends | Technology Radar | ThoughtWorks の記事より生まれたみたいです。 ※ Micro Frontends in Actionにも記載されていますが、この考え方は Web サービスを対象としており、ネイティブアプリは対象としていません。

導入企業 👨‍💼👩‍💼

実績企業としては、IKEA、DAZN、Spotify などが挙げられます。他の例は、Micro Frontends を調べたすべて にリストアップしていますので、興味がある方はご覧ください。

メリット・デメリット 🔍

MFE を導入することによるメリット・デメリットについて、(プロダクション導入経験無しの私が偏見で)簡単に紹介します。Microservices のメリット・デメリットと似ていると思います。

私が思う最大のメリットは、Agilityと思います。規模が中・大規模な Web サービスとなると、様々な業務ドメインが詰め込まれます。先程の MFE の例(EC サイト)でいうと、推薦(inspire)、検索(search)、商品(product)、注文(checkout)などにあたります。これらを 1 つのフロントエンドで構築すると、ドメイン設計を適切に分離できたとしても、開発者の業務ドメイン知識が追いつかず、開発スピードが低下してしまいます。結果、特定の開発者の属人化が加速し、ボトルネックとなります。 そこで、それぞれ業務ドメインを分割することで、開発者はそこだけにフォーカスできます。結果、開発スピードは維持できるはずです

私が思う最大のデメリットは、Independency の難しさだと思います。例えば、UI/UX の指針となるデザインシステムが Web サービスにあったとして、それをすべてのフロントエンドへ適用しなければいけません。そのため、全体を通した一貫性のある UI/UX であるかどうかの品質担保が難しいです。 他には、あるチームのビルドツールを改善したとしても、他のチームではその恩恵を受けれなかったり、アプリケーション設計における全体共通(アクセス履歴、イベント管理、状態管理など)部分を、どうするか考える必要があります。

こちら Micro Frontends を調べたすべて#ProsCons にも簡単にメリット・デメリットを書いていますので、気になる方はご覧ください。

統合パターン 🔮

MFE では、各フロントエンドのフラグメント(HTML)を、どのタイミングで統合するのかが重要です。今回はその統合パターンをざっくり紹介します。 例えば、次の MFE の例で言えば、Team-Product、Team-Checkout、Team-Inspire の 3 つのフロントエンドフラグメント(HTML)があります。これらをどのタイミングで統合するのかがポイントです。

[翻訳記事]マイクロフロントエンド > mfe-three-teams
[翻訳記事]マイクロフロントエンド > mfe-three-teams

詳しくは、Micro Frontends を調べたすべて#統合パターン をご覧ください。

ビルド時統合パターン

ビルド時統合とは、Web サービスを Publish する前の Build の段階で統合するパターンです。このパターンは、bit.devがよく使われます。

bit.dev
bit.dev

フラグメントを Packaging し、Packaging したライブラリを import させて build(統合)します。あとは、build した静的コンテンツを Publish させるだけになります。

サーバーサイド統合パターン

サーバーサイド統合とは、Web サーバー側の HTML 構築段階で統合するパターンです。このパターンは、SSI や ESI、Podium、Tailor、Ara-Framework などが使われます。

Server-side includes (SSI)
Server-side includes (SSI)

フラグメントを提供するサーバーを準備し、それらからフラグメント情報を収集し、全体のページ HTML を構築します。それを SSR としてユーザーへ提供します。

cloudflare-worker
cloudflare-worker

サーバーサイドのサンプルコードは、次にまとめています。

また、サーバーサイドというより Edge での統合パターンを下記リンクで紹介しています。

※ リッチなインタラクション UI を表現したいなら、サーバーサイドとクライアントの Hydration をする必要があります。

クライアントサイド統合パターン

クライアントサイド統合とは、ブラウザ側レンダリングの段階で統合するパターンです。このパターンは、iframe や WebComponents などが使われます。

iframe を使ったページ(フラグメント)埋め込み、全体のページ HTML を統合させたり、WebComponents のようにカスタムエレメントを定義した HTML タグでページを構成したりします。

Micro Frontends – The Missing Piece Of The Puzzle In Feature Teams | BlueSoft
Micro Frontends – The Missing Piece Of The Puzzle In Feature Teams | BlueSoft

終わりに 👨‍💻👩‍💻

MFE のアプローチを実際に導入した企業は、国内だとまだ比較的少なく、どういった場面で役立つのかあまり明確ではありません。また、書籍や知見も多くはないため、未知な領域と思います。

ただ、依然フロントエンドがモノリスな、中・大規模な Web サービスを運用するならば、特に進化が激しいフロントエンド界隈の中で、サービス提供の速度、品質を維持するのは難しいと思います。フロントエンドも Microservices 化する場面が訪れるかもしれません。そんなときに、この記事を思い出して頂ければ幸いです。

※ 独り言ですが、MFE の構築アプローチとして、Edge Worker + Web Components の組み合わせが最近好みです。

関連リンク 🔗

私が書いた MFE 関連の記事です。もしよければご覧ください。

役立ったら、☕でサポートしてね!

シェアしよう

関連するタグ