技術評論社 から出版された『表層UIデザインの解剖学』を読みました。
本記事では、読了した感想について記録したいと思います。
UI は、物理世界(アナログ世界)に存在する人がデジタル世界へ接するための橋渡し・タッチポイント。
人がデジタル世界を自然に体験するためには、UI が物理世界の法則や人の知覚情報に沿ったデザインであること。
物理世界や人は普遍的なものなので、ここに即したデザインにしておくと、
デジタル世界へ没頭できる 、みたいな感じ。
例えば、物理世界では太陽と影があり、重力があり、色鮮やかです。
デジタル世界、私の仕事場であるスマホのブラウザの中も、ドロップシャドウやアニメーション、カラーを定義できます。
これらの定義について、より物理世界に従ったルール、人の知覚に沿ったルールになっていると、
手に馴染む「なんか良いな」と思えるサービスになる。
「なんか良いな」と思えるUIって優れた機能も大事ですが、
なかなか気づきそうにないちょっとしたことの集合体と、私も思うので本書には共感しました。
今の世の中、AI で UI 生成が簡単にできるようになりましたが、
生成された UI はどこかチープな感覚になります。
AI の生成は過去データから確率論的にベターなデザインが生まれやすく、どこにでもあるような無機質なものに見えます。
これは悪ではなく、お問い合わせフォームのような どのサービスにもよくある UI は、AI 生成されたもので十分に思えます。
ただそのサービス独自の機能においては差別化が求められます。
など、小さなストレスが蓄積すると例え素晴らしい機能があっても、不便に感じます。
物理世界では当たり前だった法則が、デジタル世界ではその法則が乱れていると、
人は物理とデジタルのギャップに差を感じて、使いにくいと思うのです。
私は今まで様々な UIやデザイン周りについての本を読んできました。
配色や余白設計、タイポグラフィ(字形や字間、寄せ、etc)やコピーライティング(ボイスアンドトーン)、
あしらい、トンマナ、エレベーション、マイクロインタラクション、心理学・経験則、などです。
今回目から鱗だったのは、 形の考え です。
UIを作る際、円形なのか長方形なのか正方形なのか、様々な形を作ります。
ではなぜ、その形を選んだのでしょうか?
振り返れば、私の場合は「情報を整理しやすいものをグルーピング」で容器に入れる意識で、長方形型のカードUIをよく使っていました。
左右が丸い横長のピル型のUIや、アバター画像の円形のUIって、なんでそんな形にしたのだろう?
多くの場合は「なんとなく」感覚でやるのが多いと思います。
ただその「なんとなく」を言語化できれば、より Webサイトの世界観を作り込むことができるため、利点だと思いました。
ここでも、現実世界のルールや人のルールを当てはめるのも良いかもしれません。
角丸をつける場合は「その空間にスペースが生まれるので、少し余裕のある落ち着いた世界観」につながります。
影をつける場合は「その物体がZ軸上の高さが上がるため、押せると思わせる」意図に繋がります。
私が運営する こぶりー でも少し言語化してみました。
形に関して意識したことが少なかったため、今回の読書のおかげで、
形に関する疑問を持つことができるようになりました。
アニメーションは、機能的な観点だけだと不要な存在です。(瞬間のフィードバックだけで良い)
これは、ユーザーが行ったアクションのフィードバックを視覚的に伝えることで、
その結果を滑らかに理解できる補助になります。
アニメーションには、現在値から期待値までをどれぐらいの時間をかけて、どのぐらいの角度で伸ばすのか、
自由度の高い設計になります。
私の場合はあまりそれを拘ったことがなくて、
使用するライブラリや既存のアニメーション設定を踏襲することが多かったです。
そっちの方が外れなくて済むかなと。
それも悪くないと思うのですが、
どういう意図でアニメーションの値を設定するのか考えると深み(世界観への没入感)が出て良いです。
物理世界では、上から下へ物が落ちる重力や、移動における摩擦や反発などがあります。
そのルールに沿って、例えばボトムシートのような下から上に上がるアニメーションは、
上がる時は少しだけ遅くして、閉じる時は少し早く動くようにする と良いかもしれません。
カルーセルのような横移動させるコンテンツの場合は、移動時にほんの少し減速してみると良いかもしれません。
浮いているボタンをクリックしたら、『少し凹ませた影と色にした後に、平な状態にして、元の浮いたボタンにする』
の一連をアニメーションを、硬そうなボタンや柔らかそうなボタン でも、緩急が違ってきそうです。
UIデザインは細部に拘ることで「なんか分からないけど、使いやすい」と思わせると考えています。
本書を通して、また一つ拘るための考え軸が増えて勉強になりました。
執筆頂いた著者の方に、感謝を申し上げます。
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